冨樫珠理杏 「ひまわり」

今月の作品紹介

 

ギャラリー・ウェブサイトの、この新設セクションで最初に取り上げるべき作品は、ジュリアンの「ひまわり」です。ギャラリーを作るきっかけとなったのはそもそもこの作品であり、ギャラリーのロゴの着想に不可欠な部分となったのはこの作品でした。

ジュリアンが小学生の時、毎年恒例の親と教師の芸術夜祭に出展するためにこの「ひまわり」の水彩画を描きました。次郎とカレンが最初に「ひまわり」を見たとき、親としてその美しさ、鮮やかな色、そしてその象徴性に驚かされました。ジュリアンは学校でひまわりは常に太陽に面していることを学んだと言いました。ひまわりは東向きの日から始まり、西向きになって一日中太陽を追いかけます。 「明るい面を見て」(良い方向に目を向けて)という表現は、ひまわりの振る舞いから来たのではないかと考えました。彼は常に日系アメリカ人として両親から譲り受けたものを痛感し、誇りに思い、自身を東洋と西洋に対して分け隔てなく向き合うひまわりのような人間だと思っていました。

この絵を家に持ち帰った際、この絵に描かれた3つのハート型の葉は同じ茎から栄養を分かち合うもので、私たち3人を表しているのだとジュリアンは教えてくれました。彼の描いたシンプルな絵に注入された彼の思考の複雑さが、私たちにとって絶え間ない驚きの源となりました。「ひまわり」はいつもジュリアンと私たちの家族の明るい思い出を湧き上げます。オリジナル絵画は私たちの家に保管されていますが、ギャラリーには複製を展示しています。もしギャラリーの近所に通りかかることがあったなら、この「ひまわり」の日当たりの良い暖かさを満喫してはいかがですか。

冨樫ジュリアン 「ひまわり」 1995